理論社

第5回

2020.07.01更新

自分の道を見つけたい! 第5回

経営困難で倒れかけたハーモニィカレッジ 給料も出ない状況に、逃げだすか、それとも

大堀貴士さん(シュート) 大堀貴士さん
(シュート)
ハーモニィカレッジのポニークラブやキャンプの事業は、来てくれる人には好評で、リピーター率も高かったんやけど、当時は今みたいにSNSも発展してなくて、情報発信をほとんどしてなかったんよ。すると子どもたちはどんどん成長して高校や大学になると来られなくなってくるから、だんだん参加者が減っていった。

しばらくは自転車操業でやってたんやけど、次第に馬のエサ代を払うのも苦しいような状況になってきたんよ。エサ代で苦心するくらいやから、オレらの給料も出せないような状態になっていった。

給料が出ないとは、かつて大堀さんが大学の教授に言われた「君は騙されているんだ」という言葉が本当になってしまうのでは、という様相です。

ところが、「そんな状況になっても、ヒロさんを疑ったことはなかったですか?」と尋ねると、「なかった」ときっぱりした答えが返ってきました。

大堀貴士さん(シュート) 大堀貴士さん
(シュート)
オレはヒロさんとは運命共同体だと思ってたから、共同経営者というつもりやった。だから経営が行き詰まってるのはオレのせいだと考えた。それで、とにかく住むところと食うところは保障してもらってるんやから、当面、ただちに困るわけじゃない、ほんなら今は自分自身が成長しよう、学ぶときだ、と思ったね。

でもこの時期に、他県の、ハーモニィと同じように不登校の子のフリースクールやサポート校を営む大きな組織から、ヒロさんのところに「シュートをうちにくれないか」というオファーがあったんよ。それでヒロさんは、オレに行くように勧めるわけ。そっちに行けば、ちゃんと給料もいい金額出るし、と。

ところがオレは、ヒロさんと運命共同体だと思ってるから、ヒロさんにそんな話されてショックやったんよ。でもヒロさんが強く勧めるから「じゃあ一応話聞くだけ聞いてくるよ」と言ったんやけど、オレは断るつもりでオファーしてくれたところに面接に行ったんよ。ヒロさんのほうは、シュートはきっとそっちで働くだろうと思ってたと思う。いい組織なんだし、給料も今よりずっといいんだしって。

でもオレは、「ヒロさん、断ってきたから」と帰って来た。

そのときはヒロさん、めっちゃ喜んでくれてたと思うなあ。それでようやく、「シュート、行けるところまで一緒に行ってくれるか」と言ってくれた。
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