理論社

2020.05.15更新

自分の道を見つけたい! 第2回

子どもたちが奥底に秘めた力とは?

大堀貴士さん(シュート) 大堀貴士さん
(シュート)
ハーモニィカレッジに初めて来たとき、そこに通って来てる子どもたちがいたんやけど、その様子に衝撃を受けたんよね。
オレも長年キャンプカウンセラー活動してたから、たくさん子どもたちと触れあって来てたんやけど、ハーモニィに来てる子どもたちは自分がこれまで見てきた子ども像とぜんぜん違ってた。
なんていうのかな、自分で主体的に生きる力、内側から溢れるものがすごく育ってる感じというか。子どもたちの方から積極的に関わってくるし、馬のことを自分のことみたいに自慢したり、めっちゃ教えてくれることにも驚いた。

それまで、「教える」ということをするのは、教師や専門家やトレーナーといった、目上の人が教えるものだという先入観があったんよね。オレはこれまでキャンプカウンセラーとして子どもたちをリードしたり教えたりする立場でもあったしね。
ところがハーモニィでは、子どもたちのほうが「先生」の立ち位置にいる。その教え方も、子どもだから、上から目線でもないし高圧的でもない。そうか、子どもたちが先生になったって別にいいんやな、という価値感のひっくり返しが起きた。

「どうしたら、子どもたちがこんなふうにイキイキするんだろう?」
まずそこに驚いて、その秘密をめっちゃ知りたいと思った。
で、その初訪問の時に、ハーモニィに来てる子たちとオレたちで「キャンプをする」ということになってんけどさ。
オレたち大学生連中はキャンプカウンセラーで、キャンプのエキスパートでもあったから、「何時から〜して、ご飯は何時にはスタートさせて」なんていう、プログラムにかっちり合わせてチームワークで機敏に仕事して目標を達成することを得意としてた。そういった「子どもたちのために計画を作って、それを上手く進行する」ということにやり甲斐も感じてたし、それが出来ることに自信も持ってたわけ。
ところが、ヒロさんのキャンプは、そういう決まったプログラムがほとんどないキャンプだったんよ。
「さあ、なにをしようか」
ってヒロさんが言う。で、計画がほとんどなにもない、という(笑)

計画がないと、子どもとオレたちと一緒になって、みんなで「どうしよう、なにして遊ぶ?」となるよね。
で、「じゃあ、今日は暑いし、川でも行こうか」となったりして、川に行くという。
そういう具合に、プログラムに添った行動をするんじゃない遊びをしてたらさ、昔、子どもの頃に公園や裏山で遊んでた時みたいな感覚を思い出したんよ。
「なにもなくたって、遊びは生み出せるんだ」
「道具や計画なんかそろってなくても、オレたちは遊べる」
そういうことを思い出していって、めちゃめちゃ楽しくなったんよ。
人間の奥底にある生命力が溢れてくる感じがした。

例えばプログラムがあると、「〜時までは川遊びして、〜時までに着替えて、11時には食事の用意を始めないと12時にご飯食べられない」といった感じになるやん?
でもさ、何かの遊びに夢中になって、めし食うの忘れるほど楽しかったとしてさ、めしが2時になっちゃったところで、別に死ぬわけじゃないやん?
腹が減ったらめし食おうか、と。別に12時を守らなくてもいいやん、と。
そうやってぜんぶ自分たちで考える自由なキャンプをやったら、めちゃめちゃ楽しくてさ、何泊かキャンプして別れるときは、子どもたちも大学生のオレらも、大号泣やったんよ。
そんなふうに、子どもと大人が同じ目線や気持ちで大号泣し合ったのも、初めての体験やった。

「子どもの頃はなにもかも忘れて遊ぶことに夢中になれていました。中学生や高校生になると、「大人になると子どもの頃のようにはいられなくなるよ」なんて話をよく聞きましたが、それって本当かなあ?
私は自分が大人になってから、いろんな職業で、それぞれに子どもの頃のようにやりたいことを夢中で追いかけて楽しそうにしている人に出会っています。
大堀さんも、そんな「子どもの頃のように夢中になる」という大人のひとりみたいです。

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