理論社

第11回

2020.10.01更新

自分の道を見つけたい! 第11回 ここいろ篇5

死ぬことばかり考えていた日々
同性愛をカミングアウトするよりも怖かったこととは

高畑さん(さーちゃん) 高畑さん
(さーちゃん)
うちは両親共に教師だったので、昔から漠然と自分も教師になりたいと思っていました。それで、希望通り小学校の教員になりました。
だけど、自分に自信がまったくない状態だったんです。それは、子ども時代からずっと自分を否定してきたことや、兄にかかりきりの両親に甘えられず精神的な安全基地がずっとなかったことが要因だと思います。

そこに、一人では抱えきれない分量の仕事を抱えてしまい、クラスは荒れてしまってコントロールも取れなくなり、職場で混乱と苦悩が募りすぎて、メンタルを壊してしまいました。
それで、あまりに辛かったせいで、「これをすると幸せになれます」みたいな怪しい商法なんかにまですがるようになって、親に「これを買うのでお金を貸してくれ」とお願いしたんですね。完全に精神が混乱している状態だったわけですが……。
その段になってはじめて親は、「これは、相当にしんどいんだな」ということに気づいて、私が血迷った道に向かわないようにと、あれこれ説得をしはじめました。

そのときに「もういい!!」と感情を爆発させて家を飛び出したんです。すると、親が追いかけてきたんですが、後から聞くと、おばあちゃんが「今、追いかけて行く時だよ。今、ここで追いかけんといけんよ」と、親に言ってくれたのだそうです。
そして、そのときに初めて、
「今までずっと私のことなんか見てなかったくせに!!」
「今さら親面して説教してきてなんなん!?」
と、思いのたけを叫んで、子どもみたいにワンワン泣きました。

小さい頃から両親はお兄さんの問題にかかりきりで、いっさい甘えずに、心配かけないように笑って、空気を読んで自分を抑え込んで生きてきた高畑さん。お兄さんと両親が三人で泣きながら抱き合っている様子を、「自分は入れないんだ」という思いを抱えながらじっと見ていた記憶があるそう。
家庭内でも、同性愛に関しても、自分の本音を抑え続けてきたことが、教師の仕事でオーバーワーク状態になったことをきっかけに、ついに限界点に達し、爆発を引き起こしたようです。

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