理論社

第11回

2020.10.01更新

自分の道を見つけたい! 第11回 ここいろ篇5

学校の仕事に追い詰められ、大失恋も同時期に重なり、一時は死ぬことしか考えられないほど追いつめられた高畑さんですが、人間っていちばん底まで落ちると、その落ちていった底で、かえって大きく飛躍するための重要な手がかりを掴むように思います。

高畑さんはこのとき、「もう自分に嘘をつく生き方をしたくない」という「心の叫び」を掴み、それが両親に気持ちをぶつける決意へとつながります。
「ずっとさびしかったんだ!!」
25歳でのカミングアウト。25年間、心の奥に押し込めてきた思いを爆発させた瞬間です。

この気持ちを自ら表現したことで、高畑さんは新たな自分の道へと歩みだすことになり、家族にとどまらず、世間に対しても、同性愛者であることをオープンに表現してゆくようになります。

まっ暗な底まで落ちるからこそ、人は「この闇から抜け出したい」と強烈に願います。その必死さが閃光となって、「本当の自分」の姿が暴きだされるのかもしれません。
そして、「本当の自分」を知ってしまったら、もう今までのように自分を抑えつけたり、ごまかして生きることはできなくなってくるように思います。
そうすると次は、深くもぐった分の反動で、大きく飛距離が伸び、これまで居たのとは全く違う新しい世界に到達することになることだって、あるのではないでしょうか。
「新しい景色」に出会うためには、ときには一度は深い闇に沈むことも必要で、それはとても大切な体験であるようにも思います。

心に大きな傷を受けたことがあると感じるならば、高畑さんのように、「自分の心の声」を徹底的に掘り下げて、内面の奥深くにいる「小さな自分」が訴えている声に耳を澄ませてみることは、自分らしく生きるための重要な手がかりを得る手段となるのかもしれないな、と思いました。

次回で「ここいろhiroshima」のお二人のお話は最終回です。
現在の「自分の道」が、どんなふうになったかについてうかがいたいと思います!

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