理論社

第12回

2020.10.15更新

自分の道を見つけたい! 第12回 ここいろ篇6

たくさんの理解者が現れるようになる

 

そして高畑さんも、親との関係修復を契機に、「本当の自分」をオープンにして生きる道へと向かっていきます。

高畑さん(さーちゃん) 高畑さん
(さーちゃん)
両親へのカミングアウト後は、どんどん外に出ていく元気が出てきて、東京のとある企業の面接を受けました。その面接では、自分が同性愛者であることも、これからやりたいと思ってることも、包み隠さずに熱弁したんです。
すると、面接をしてくれた社長さんがすごい方で、「分かった。君にはとにかく内定はあげるよ」と言ってくれたんです。

そしてその後に、「でも君は、もっと自分が本当にやりたいと思うことを見つけて、それをやったほうがいいと思うよ。だから、それを思いきり探してみなさい。そしてやっぱり今はうちで働きたいと思ったら、そのときはうちで働けばいい」と言ってくれたんですよ。

その社長さんの言葉に勇気をもらって、自分をオープンにして思いきり生きるようになったら、すごく理解をしてくれたり、「ここいろhiroshima」に興味を持ってくれる人にどんどん出会っていくようになりました。
「自分に嘘をつかず、心からやりたいことを思いきりやる」という事をしはじめると、たちまち嬉しいことがいっぱい舞い込むようになりました。

「自分が心から望む道を歩んでいると、理解者が現れる」というのは、私も体験的に感じていることです。きっと人は、そうやって自分に正直に、好きなことや、やりたいことに邁進する人を見ると、自分も励まされて、応援したくなってしまうのではないでしょうか。
「正直に生きている人」って、とても魅力的に見えるものです。
問題は、常識や思い込みに囚われて、「自分が心から望む道を歩む」ということができない人がとても多い、というところにあるんじゃないかな、と思います。

私自身、セクシャリティという意味では、中学校くらいから「自分はなんとなく気質がおじさんっぽいな」と感じていて、キャピキャピと女の子っぽくするのには苦手意識がありました。
でも年頃になると「人並みに恋愛できなかったらどうしよう」という「常識」にとらわれて不安を感じて、オシャレに気をつかい、髪をロングヘアにして、女の子らしくするようになりました。
そのおかげで、多少はモテるようにはなりましたが、一方で、「本当はおじさんみたいに理屈っぽくしゃべりたいんだ!」といった、実は「魅力」なのかもしれない部分が抑え込まれていき、窮屈さを感じるようになっていきました。

でも、だんだん年齢を重ねると、「女らしさ」で自分を飾らなくても、素の自分のままでつき合える人と、性別など関係なく、出会えるんだということも分かってきました。
「おじさんっぽいところもある素の自分」のままで語り合える関係性って、ものすごく楽しいです。男か女か、どういう性別かなんて関係ない、ただ「人間同士」なんだ、という感覚でつきあえる人間関係って、とても豊かで自由に感じられます。
正直に自分を出して生きたほうが、結果的に異性にも同性にも「モテる」ということ、恋愛じゃなくても、人として面白味を分かってもらえることを、知ったように思います。

今の時代は、まだまだ「女らしさ」「男らしさ」といったものに縛られがちなところがある気がしますが、もしも小さいときや思春期のころから、誰もが「素の自分」のままで語り合える空気を社会全体で作っていけたなら、すごく豊かで楽しくなるんじゃないかなあ、と夢想してしまいます。

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