理論社

第15回

2020.12.01更新

自分の道を見つけたい! 第15回 G1さん篇3

ハックルベリー・フィンのような暮らし
100%自学自習の世界で過ごす日々

G1さん G1さん
地元の中学校にも行ってみたけど、速攻で行かなくなりましたね。一日中机に座って勉強するのなんか、ぜんぜん面白くないですもん。「こんなんぜんぜん楽しくないし、行く意味ないやん」って思いました(笑)

だって、ハーモニィでの生活って、毎日ひたすら遊んでるようなもんでしたからね(笑)
朝起きて、馬にエサやって、川に遊びに行って、馬乗って、ごはん食べて、馬の手入れして、寝て、と。
勉強の時間は一応ありましたけど、本を広げて寝たり、勉強してるフリしてました。むちゃくちゃですよね、よく考えたら(笑)

勉強が好きな子は勉強してたけど、ぼくはまったくやってなかったですね。
人によっては、しっかり勉強しないなんてけしからんと思うかもしれませんが、逆に、もしもハーモニィががっつり勉強をさせるような場所だったら、ぼくはそこにいなかったと思います。
ヒロさんも長年フリースクールの仕事をしてきた人だから、「今、この子にそういうことを求めたらつぶれる」とか、そのへんのさじ加減も分かってたんでしょうけど。

「楽しくないことはやる意味がない」とスッパリ思い切れるところに、やはり驚きます。自分の感覚を信じられていないと、そんなふうにずばっと判断することってできないんじゃないのかなあ?
そしてG1さんのお話をうかがっていると、本当に徹底的に勉強しなかったんだな〜というようすがうかがえます(笑)

朝起きて、自然の中で遊んで、馬に乗って、眠くなったら寝る生活。一緒にいる友だちとは、言いたいことを言い合って、怒りはサッパリ忘れる。
完全に「ストレスフリー」な生活とはこういうものか、という感じです。
私の中学生時代といえば、クラス内では常に「ひとりになったらどうしよう」という不安感がつきまとい、試験前夜には心臓がバクバクして「オエッ」と吐き気をもよおしていたので、ずいぶんな違いです。ストレスだらけでした。

この時期のG1さんの生活は、まるでハックルベリー・フィンの暮らしぶりのようだなあと思いました。
アメリカの作家、マーク・トウェインの書いた物語『トム・ソーヤーの冒険』に、ハックルベリー・フィンという、家出をして学校にも行っていない男の子が出てきます。私の子ども時代には、このトムとハックの日々を描いたアニメが放映されていました。
ハックは木の上に作った小屋(ツリーハウス)に暮らしていて、自然の中を遊びと冒険に明け暮れる少年たちの姿に、憧れを抱いてワクワクしたものでした。トムとハックに憧れて秘密基地やツリーハウスを作る人は、現在でも多いと思います。

第15回-2画像

けれど、普通に中学校に通い、ハックとはほど遠い生活をしていた私は、学校のテストや全国模試など、「自分のレベル」を突きつけられては一喜一憂していた記憶があります。友だちの成績と比べてお互いの状況を探り合ったり、「このままじゃ、どこどこの高校に合格できない」なんてことばかり考えていました。ああ〜、暗い中学時代だったなあ……。
G1さんには、本当にまったく、いっさいの不安がなかったのでしょうか?

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